UDXと電気街の中央通りの間にある道路、アニメイトの隣にある細長い駐車場には、大量のタバコの吸い殻があって、そこが異様な雰囲気を発していた。そこでタバコを吸い、吸い殻を駐車場に捨てた人たちの影のイメージが浮かぶ。その影たちが非公式の喫煙所を立ち去って、それぞれの目的地に向かうのが見えるような気がした。そして今私は日比谷公園の小音楽堂の北、第一花壇のベンチに座って、昨日歩いた秋葉原のことを思い出している。背後に小音楽堂があり、今日はフィリピンフェスティバルが開催されていて、イベントのMCが英語であるいはフィリピン語?で話すのが聞こえていて、ここ第一花壇の中央にはヤシの木が何本か生えているため、まるで南の国に、アジアのどこかにいるような気分になる。そしてこんな日曜日の正午に私はビールを飲んで酔っ払って、フィリピンフェスと秋葉原のことを考えている。

フィリピンは外国だ。

今ステージからフィリピンの流行歌の歌声が聞こえて来て、隣のベンチに座っている女性がその一節を口ずさむ。

そして秋葉原も私にとっては異国だ。私の知らない文化がそこにはあって、メイド服を着た女の子が道で客引きをしていたり、電子機器の部品が店前にずらりと並んでいて、外国人が多く、ビルの壁にはアニメやゲームのキャラクターの巨大なポスターが貼られている。それらはほとんどテレビやインターネットでしか知らない景色、外国の観光地、見知らぬサービスを提供するお店のようなものだ。

今ステージでとんでもなく下手な歌が歌われている。だけどその下手さが人々の感動を呼ぶこともあり、下手だというのは単に一つの事実であって、良し悪しとは別の話でありうる。今ステージで行われているのはカラオケ大会のようだ。次の出演者もひどい歌だけど、その酷さの中に本物のエモーションが一瞬垣間見える、不思議。

フードコーナーは白く煙っている。それぞれの出店でバーベキュー料理が焼かれていて、焼肉の白煙が、バーベキューの香り付きであたりに立ち込める。サンミゲールビールを飲みながら会場を周り、喫煙所にはジャック・スパロウのコスプレをした人が、記念撮影の要望に応えて大忙し。DOPEと書かれたキャップをかぶり、ミリタリージャケットを着た男の子のような女の子(あるいはその反対)が父親と一緒に一服をしていてとても可愛い。今ステージからはホイットニーの「I Will Always love You」が歌われていて、その人は歌が上手い。

秋葉原の中央通りの高架橋、「御成街道架道橋」というらしい、それが見える場所に出た時、いつでも気分がいい。感動したというほどでもなく、この感覚を表す言葉を知らないが、自分が今まさにその場所にいるのだという感覚。信号待ちで待っている人たちは多様だ。フィリピンフェスの来場者たちが多様であるのと同じように。高架橋下で日本語や中国語が行き交い、日比谷公園で英語やフィリピン語、日本語が飛び交う。人々の多様性と文化の独自性が秋葉原に独特の魅力を与えていると思うのだが。フィリピンの人々の驚くほどの多様性。肌の色、顔形。

日本が経済的にに没落し続けていることで、外国人たちは日本に来やすくなり、それに伴って町中で交わされる言語の種類が増え、路面のビルには様々な国の言葉が書かれた看板やネオンが並ぶようになるだろう。平仮名、片仮名、漢字、ハングル、英語、アラビア文字。そして東京が、東京の方が「ブレードランナー」(近々続編が公開されるので楽しみ)や「ニューロマンサー」で描かれた世界に接近して行く。そんなことを想像するのは愉快だ。

高架橋の信号を抜けた先には、電気街の路地(何通りと呼ぶのだろう)が伸びていて、秋葉原に行くとその通りをいつも歩く。行きたいお店があるわけではない。この通りの店のことを私はほとんど知らず、ただ一度覗いてみたいという好奇心とそこに入ることの不安を感じながら、ただ通り過ぎる。大きな道路を一本超えた先に、ライブハウスを見つけた。「Twin Box Akihabara 」というようだ。入り口に体格の良い黒人男性が一人、Security と書かれたTシャツを着ていた。来場者が入り口に並んでいた。秋葉原に不案内な人たちにとっては意外なことに、この街には多くのライブハウスがあり、日夜様々なイベントが開催されている。多くは地下アイドルたちのライブ、だろうか。今私の眼前にはフィリピンの伝統舞踊の衣装に身を包んだ女性たちがいて来場者たちと写真撮影をしている。

再び第一花壇。ここがフィリピンの公園だったら良いな、と思うしそうであっていけない理由があるだろうか。

驚くべき事実!日比谷から代々木公園へは日比谷線1本で移動できるという事。

代々木公園でいつもの歩道橋噴水や人工池のある場所イベント会場を繋ぎ、橋の下ではいつでもダンサーたちが練習をしている。ビニールシートを敷いて休んでいるカップルは、お弁当を並べて、女は雑誌を読み、男は片肘ついて横になる。私の真下では誰かラッパーが撮影をしていた。カメラマンはプレイボーイのTシャツ。代々木公園では北海道フェアが開催されていて、どこも長い行列ができていた。

頭が痛いからここまで。