日産アートアワード、石蹴り遊び、横浜トリエンナーレ

日産アートアワードを見に遠路はるばる横浜へ、馬車道駅で降りてスリランカ料理店で昼ごはん。

道中でラ・マーガはロカマドゥールが死んでいることに気がつき、上階の老人が罵声を浴びせながら降りてきて、オリヴェイラは出ていった。数日後にラ・マーガもまた、荷物を詰めてそのアパートから出て行った。それは『石蹴り遊び』の中での出来事で、私はBankART、来年あたりに閉鎖することが決まったBankART に来ていて、受付の人に促されるまま横浜トリエンナーレのセット券を購入していた。そのため、日産アートアワードだけでなく他のものも見ていかなければならないだろう。

肝心のアートアワードはどうだったのか。なんとも言えない。ただどこにいても他の展示や他の映像から、今見ているものとは別の音や声が聞こえてきて、それで見たいものを見れず、聞きたいことが聞けず、そして間違えて外に出てしまい、、改めて入り口から入り直したところ再度パスポートを買わされそうになった。藤井光の映像作品を観ていて、この映像が今年の初めころにシアターコモンズで開催されたワークショップの時のものだと気づいたときの驚き。戦慄といってもいいかもしれない。当時twitterで参加者らのツイートをみて何となく恐ろしい気がしていた。目の前で流れている映像がそれだと気づいたとき感覚。見ていた夢が突然悪夢に変わるようなものだ。

次はどうするか。次は赤レンガ倉庫だ。

像の鼻テラスに出ると、そこにはエアコンのフィルターみたいな物体がいくつも並んでいて、右手の方にはビックサイトの偽物のような建物、そしてでかい船。左には赤レンガ倉庫が見えて来た。像の鼻テラスは海の香り、曇り空で、だけど雨はもう今日は降らないらしい。鯨のイラストが描かれた観光クルーザーが通り過ぎて行く。横浜税関の屋上テラスに、海を眺める人たちが並んでいた。

赤レンガ倉庫前では、今はなんの催しも開催されてなくて、白いタイルが敷き詰められた広場になっていた。そこを行き交う人たちを見るととても気持ちがいい。よく見たらタイルは白というより灰色だ。何石というのだったろうか。

倉庫の2号館?の2階ベランダの隅に鐘があり、それを鳴らす人がいて、そのすぐ真下の1階部分には制服を着た中学生がいた。鏡を見ながらメイクをしていた、それがなんだか良かった。トリエンナーレの展示は、何人もの音楽家がそれぞれ別のスクリーンに映されていて、彼らが同期して歌を歌う作品が面白かった。壁が黒く塗りつぶされた部屋で、ミュージシャンたちが映るスクリーンの間を回遊しながら、それぞれの声を、そしてそれらが合わさって一つの音楽が流れるのを聞くことができて、それからその映像を見る鑑賞者たちの表情も見ることができて、良かった。

どこかのタイミングで本屋に行き、ボラーニョ・コレクションの『チリ夜想曲』を買わなくては。

移動すると景色が変わる。さっき通ってきた横浜税関と客船と赤レンガ倉庫が遠ざかっていく。ワールドポーターを抜けて横浜美術館の方を目指す。馬車道で電車に乗るのと直接歩いて向かうのどちらが楽か、いまいちわからない。距離的にはどちらも同じくらいに見える。歩いていくならコスモワールドの横を抜けて橋を渡ることになるのか。

結局コスモワールド方面から美術館に向かう。遊園地のアトラクションを見ていると歌の歌詞が頭に浮かぶ。「would you like to go on the coney island steeple 」ルー・リードthe velvet underground で『coney island steeplechase 』を歌ったか録音した時には、ステープルチェイスパークはすでに閉園していたんじゃなかったか。だから彼が「一緒にステープルチェイスパークに行きませんか」と歌っていた時、もうそこにいく方法はなくて、結局それはルー少年の思い出の中への旅ということだったのだろう。「go and have a good time」

横浜美術館に到着してトリエンナーレの展示を見て回ったけれど、疲れていてほとんど素通りしてしまった。人形劇の映画でサラディンと十字軍が戦っていた。フロアには絨毯が敷かれていて、そこで一休みすることができた。ラ・マーガのアパートを出て行ったオリヴェイラと思いがけず川久保ジョイの展示で再会。

家に帰る途中で本屋へ立ち寄る。『チリ夜想曲』はまだ並んでいなかった。そもそも発売日は25日だ。